前職は体が資本の仕事でダイエットとは無縁だった。BMIも標準よりやや下ぐらい。 ある日、現場で腰に激痛。ぎっくり腰だった。医者曰く椎間板ヘルニアも併発しているらしい。それも20代の患者では見たときないほど悪いと。椎間板から水分が抜けてはっきり写らないとのことだ。今までなんともなかったと思っていたが、ぎっくり腰を切っ掛けで痛み止めが手放せなくなった。 当時ブラック企業なんて言葉はなかった。今思えば真っ黒。ブラック通り越してダークサイドに落ちたダースベーダー企業だった。医者も遠まわしに転職を勧めてくる。それでもクスリでだましながら生活を続けた。その過程で、結婚し長男が生まれた。長男が起きる前に家を出て帰ると寝ている。私を父親と認識するのにだいぶ時間がかかった。さすがに「転職」しようと思い、今勤めている会社の中途採用試験を受けた。 試験の前日の仕事終わりは深夜2時だった。タイムカード上では18時の定時に退社している(ちなみに朝は9時からだが、出勤は8時。色々麻痺していた)。家に帰って風呂に入った。そのまま車で行くつもりだったが妻が止めた。「新幹線で行け」と。「寝過さないでね」と言われたが、移動中、一睡もできなかった。 試験は順調に終わり無事内定をもらった。前職と変わって事務職になった。前職の知識が役に立ち、仕事は順調だったが、体重が最大で10キロ増えていた。転職して6年。ダイエットを決意した。 ところが、落ち着いていたヘルニアが牙をむいた。ジワーっと痛み始める。最初はいつものことと思っていた。次第に右足が痛くなる。歩行困難寸前だった「やばいな」。足を引きずり、腰を曲げ、医者に行った。数年ぶりのレントゲン。レントゲンでは椎間板は映らない。骨に異常がなければMRIで椎間板を確認となるが、医者から衝撃の一言 「骨が削れています」 クスリでだましながらの生活が仇になった。MRIを撮らなくとも椎間板になにかしらの異常があることが判ると言われた。MRIを撮ってしっかり診断することになった。ここではMRIがないので指定の病院で撮って持ってきてほしいとのこと。後日、別の病院でMRIを撮影し、結果を貰って医者に見せる前、自分で確認した。 はっきり椎間板が神経を圧迫していた。その足で医者を訪れると手術を勧められた。リハビリ込みで3か月。現実的な提案ではなかった。自分がヘルニアなってから知識をつけていた。もっと短い期間でできる手術がある。 別の医者をさがした。内視鏡で切ってくれる「岩井整形外科内科病院」を見つけた。場所は東京。ちょうどお盆休み前。手元には撮ったばかりのMRI。うまくいけばお盆休み中に手術可能では?そう思って始発の電車に乗った。片道4時間。病院について待つこと、さらに2時間半。 待合室ではロンドンオリンピックの開会式が流れていた。時は2012年の夏だった。

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